田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

「これはゾンビですか?」が示唆する外出がかなり危険な未来

 花粉症の季節である。私も目がショボショボして、大変困っている。鼻水も垂れてきて、汚らしいこと、この上ない。今や、花粉症に効くという目薬が手放せない状態である。
 花粉症の人にとって、外出は全身に花粉を浴びる危険な行為となる。とにかく花粉症を発症しないようにするには、外に出ないで家の中でじっとしていることが一番良い。


 アニメ「これはゾンビですか?」に登場する主人公の相川歩(あいかわあゆむ)は、連続殺人事件に巻き込まれ、第一回登場時には既に死んでいた。それをユークリウッド・ヘルサイズ(通称:ユー)と名乗るネクロマンサー(ネクロマンサーとは、死者や霊を扱い術を行う者のこと)の力によって蘇り、見た目は普通のゾンビとして、物語には登場している。

 ゾンビとなった相川歩の身体的な特徴はいくつもあるが、ここでは代表的な2つだけ紹介する。1つは、死なない体になったこと。切り刻まれても、切り刻まれた肉片がくっつき、再生して元通りの体に戻る。2つめは、日光に弱いこと。直射日光を浴びると、干からびてしまい、見るからに老化したような風貌へと変化する。常人でも直射日光は体に良いとは言えないが、相川歩の場合、極端に早く干からびてしまう。よって、本人は直射日光を避けつつ、日常的な行動を心がけている。
 「日光に弱い」という設定は、本編にそれほど関係ない身体的特徴だが、これを見たとき、現代人にとっても、外出することが、かなり危険な状況になっているのではないかと私は直感した。
 前述した花粉症がそうであるように、花粉症以外にも外出して、肉体を危険にさらすことはあるだろう。


 よくよく記憶をたどってみれば、「これはゾンビですか?」などの遙か昔、1984年に劇場公開された「風の谷のナウシカ」の中に同様な描写があった。腐海が放つ瘴気によって、外界で生きていくことが困難であるという設定が、そこにはあった。
 腐海とは、新しい生態系の世界であり、巨大な菌類がはびこる広大な樹海である。そこには蟲(むし)と呼ばれる異形の動物たちが棲んでいる。腐海の中の植物は「瘴気(病気を引き起こす悪い空気)」と呼ばれる猛毒を大気中に放出していた。腐海の中で、従来の動植物は生活できず、人間もまた素のママでは生きてゆけない場所であった。
 人々は、腐海が放つ瘴気が届きにくい潮風を常に受けている地域である「風の谷」で平素の生活をしていた。もし瘴気が来たとしても瘴気マスクなる、瘴気を浄化するマスクをして生活していた。そう外界で人間が素の身を晒すことの危険性を、ナウシカでも同様に訴えていたのだ。


 オゾン層が破壊され、有毒な紫外線が地球を覆うだろうと言われ、フロンガスを出さないようにと言われて随分と久しい。皮膚ガンが増えるのではないか。これも、将来の人類が地球上で生活していくために必要な対策だった。
 しかし、本当にオゾン層の破壊は、人類の英知によって食い止めることができるのであろうか。


 3/21現在、福島原発事故による大気中の放射能汚染が問題になっている。
 福島第1原発の避難区域は、半径20kmになった。屋内待機に関しては、半径30kmとなっている。福島第2原発の避難区域は、半径10kmである。
 原発事故の影響により、今後、放射能の雨が首都圏を中心に降り注ぐのではないかとの噂も広がっている。いくら公式に「この程度では人体に影響が無い」とは言われても、放射能を浴びて、数年後に「やはり人体に影響することがわかりました」と訂正されたのでは、時既に遅い。そんな被害を受けたとしても、誰も責任を取ってくれない。最悪の場合を想定して、過剰反応と言われようが、自分の身は自分で守るしかない。
 洒落でなく、外出は自らの身体を危険にさらす行為に、現在進行形でなっている。


 今回の様な放射能を持ち出すまでもなく、身近なところでさえ、花粉症、有害な紫外線、そして季節性のインフルエンザなどの空気感染するウイルスなど、外出する危険性は、年々高まってきている。


 SF映画などでは、スペースコロニー、月面基地などのように、地球外の星で人間が生活する場合、その星で生活するためには、完全に外界との隔離によって成立する“基地”をビジュアルとして目にしたことはないだろうか。そこに登場する巨大なドーム型の基地とは、何も人間が地球外に行ったときだけに住む生活空間ではないような気がする。私が想像するに、これからの地球上においては、平素な生活をするにあたっても、人工的に管理された空間を作り出していくことが、生活需要として高まってくるのではないだろうか。
 イメージとしては、巨大な東京ドームのような場所の中に町が作られ、そこで人々は生活するというそんな社会だ。


 古代支那における城壁都市をイメージして欲しい。人々は、城壁の中で生活し、城壁によって、外敵から身を守りながら共同生活していた。そのような城壁都市に、屋根までも取り付けたイメージがドームシティである。


 私の未来予想は、素人の単なる戯言だと思ってもらって結構だ。でも、そのように、花粉症もない、ウィルスもない、優れた空調機能によって、空気が完全にコントロールされた空間の中で生活をしてみたいとは思わないか。私たちは、日常生活の中でも、エアコンや空気清浄機を使って生活している。ドームシティとは、それを拡大したに過ぎない発想だ。そんな巨大空間に住んで日常生活を送ってみたいと思う人が、今後一切出てこないとは言い切れまい。


 外出することが危険である要因は、今後増えることはあっても減らないように思う。ドームシティにリアリティを感じない人であっても、自立型のマンションをイメージして欲しい。マンションの中にコンビニなどが併設されて、内部からそこに行ければ、日常的な食料は確保できる。衣料品など他に必要な物資は、インターネットで注文して送ってもらえばいい。
 働きに出かける。学校に行く。幼稚園・保育園に行く。そのような事情でもない限り、単に生活をするだけならば、全てマンション内で事足りてしまうようなそんな生活は既に想像可能だろう。
 人類の中で一番きれい好きで、滅菌などにも積極的行う日本人は、花粉症やウイルスや直射日光から身を守るため、特別な場合を除いて、日常的には、「大いなる引きこもり生活」を営みながら、日々暮らして行くようになるかも知れない。何よりも、それが安心・安全の生活だと思うならばの話である。


 近い将来、こうなるであろうという、私の未来予測は、我ながら当たる確率が高いと自負している。


2011年03月23日