身近な町(=浦安)の二次被害
浦安市区の投開票「拒否」問題
2011年04月09日 asahi.comより
県議選の浦安市選挙区(定数2)の投開票をめぐり、是正指示や勧告を出して実施を求める県、県選挙管理委員会と、「適正な選挙実施は困難」と主張し続ける市、市選管の対立は続いている。
このままだと候補者は選挙運動をした揚げ句、12日の選挙会で当選人がいないことになり、再選挙で仕切り直しを迫られる。
市選管は1日の告示後、法定受託事務である投開票事務の一つである、期日前投票も不在者投票も行っていない。市選管には、病院や介護施設などから、入院、入所者の不在者投票についての問い合わせが15件ほど寄せられた。投開票が出来ないでいる事情を話し、「県議選は日程が決まればいずれあります」と説明しているという。
なぜ「法律の想定外」(総務省)という前代未聞の事態になったのか。
投開票「拒否」の引き金は、先月22日、浦安市について統一選の延期の「指定は要しない」と、県選管が国の意見聴取に回答したことだった。同日、統一地方選の延期を認める特例法の一次指定市町村に入らないことが決まった。翌23日、松崎秀樹市長は緊急会見して、「選挙を適正に実施できる状態ではない。拒否するのではなく延期して欲しいだけだ」と訴えた。
震災直後から、県選管は各市町村選管に選挙が可能かどうか打診。「困難」と答えた浦安、香取両市選管の職員らと共に18日には総務省の担当者に会い、「液状化でライフラインが止まり、施設の安全性も職員確保もできない」という事情に理解を求めていた。
にもかかわらず、県選管が実施可能と判断した背景には、特例法が、指定を受けた市町村の選挙区だけの延期を認める規定になっていないことがある。県選管は、浦安市が指定されれば特例法の規定通りに県内全選挙区で県議選が2カ月以上延期になる影響を考えた。(1)速やかに県議を選出することが復興や県民の安定した生活に直結する(2)県や市町村選管は10日投開票を前提に大半の準備事務が整っている、といった理由から「苦渋の決断」をした。
松崎市長と市選管委員長は23日、「県選管は現状を把握していない」と抗議書を提出。県選管は投票所になる31カ所を現地確認し「小中学校で卒業式が開かれるなど、使える所もある」と指摘したが、松崎市長は「式は最短20分で行ったが、投票では12時間は人が出入りする」と反論した。
投開票日が迫るにつれ、首長同士の舌戦も。森田健作知事が5日、地方自治法に基づく是正勧告をすると、松崎市長は「知事が現場を見ずに判断を下したことはコメントに値しない」との談話を発表。森田知事は翌日、「浦安市に行った副知事や職員から報告は受けており、対応できている」とやり返した。
騒動を横目にみながら、「選挙がどうなるのか早くはっきりさせて欲しい」と望んでいた3人の候補者は、連日、液状化の街を歩いて支持を訴えている。(小沢香)
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まずハッキリ言っておかなければならない私の考え方がある。
「選挙とは、民意を目に見える形に示す、神聖な行為である」
私が議員という職業に就いているという理由もあるが、選挙ほど神聖な行為を、私は知らない。そのくらい、選挙とは重要なことだと、私は思っている。
私が支那中国や北朝鮮を批判するように、選挙も行わず国のあり方を決めていくような独裁政治を批判するのはそのためである。
今回、浦安市は県議会選挙を行わないという決定をした。通常であれば、選挙を行わないなど、極めて非常識なことなのだが、今回に限り、「浦安市長の県議選は行わないという決定」は、妥当な判断だと理解する。
まず選挙とは平時に行われるものである。非常時に行われるべき行事ではない。では、今の浦安市は平時なのかといえば、被災地にあって、とても平時とは言えない。年中戦争を行っているような地域にあって、非常時が一年中続くような場所であれば、非常時であることを理由に選挙を行わないという判断が延々と続くことも非常識だと思うが、地震による被災とは、いわば一時的なこと。時間と共に被災は改善される見通しが立つことから、何も今、選挙を行わなければならない理由はない。
それに選挙とは選挙民あっての行為。選挙民が、被災して苦しい状況の中で、正にそれが非常時であるにもかかわらず、選挙ができるのか。それによって、投票率の向上が望めるのか。そのような問題もある。
今回の選挙を行うという決定は、浦安市民、浦安市職員にとって、森田健作知事の判断ミスによる人災であろう。もっと言えば、選挙を行うか、行わないかの決定権は、基礎的自治体にこそあるのだということが、法律として確立していない現在の法制度の不備が、このような県と市との対立を産んだのだと思う。
今回は、浦安市における県議会議員選挙は行われず、5月以降にすぐに再選挙となるようだ。
>同市では24日投開票の市議選は予定通り実施することを表明しており、県選管は「2週間しか違わない市議選はできて、なぜ県議選はできないのか」と嘆いている。
これもまた県選管は、事情をわかっていない証拠だ。市は選挙を行わない、行えない責任を誰よりも痛感しているだろう。だからこそ、被災して厳しい状況にも関わらず、少しでもその影響を最小にするべく、せめて市議選だけでも行おうと努力しているのだ。その努力を評価せず、市議選ができるのに県議選ができないとは、どういうことかというのは、あまりにも、浦安市の事情を、浦安市の声を無視した考え方である。
中央対地方というと、国と地方自治体のように思いがちだが、県と市区町村という小さな構図においても、中央と地方という対立の構図は、この様にあるのだと思い知らされ、今後の地方分権問題を考える上での一助となった。
2011年04月10日