田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

東電のこれからを、チッソ株式会社の現在から予想する

 現在の水俣病患者の方に対する補償は、1973年7月に、患者各派との間に締結された協定(派に属さない方とは個人契約)に基づいて行われてきたもので、これまでに2,268名の認定者の方々に対し、合計1,451億円(一人平均6,400万円)をお支払いしています(2010.3末現在)。


この補償協定の成立過程におきましては、大半の会派とは話し合いでの決着を図りましたが、一部の派との交渉は、多数の過激な支援者の座り込みのもとで、威圧的言動や行動により応諾を迫られ、一時は社長以下の会社代表が88時間にわたり監禁状態に置かれるなど、極めて苛烈なものとなり、さらには従業員が暴行を受けることもありました。


このような混乱した事態を憂慮された三木武夫衆院議員(当時環境庁長官)、沢田一精熊本県知事ほかのご仲介により、ようやく補償協定が成立しました。
(チッソのホームページからの転載)
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 この他にもチッソのホームページには、水俣病関連損失累計(2010.3.31現在、億円)として、掲載されている。


 補償金       1,451億円
 公害防止事業   310億円
 解決一時金     317億円
 債務免除     △270億円
 漁業補償等      62億円
 県債金利      1,082億円
   合計       2,952億円


 東電の補償はこれからだが、チッソの例を参考にすると、東電の補償額は、このような「損失累計」をはるかに上回ること、間違い無かろう。水俣病による補償が経営を大いに圧迫した。
 債務超過・無配継続などを理由に、1978年にチッソは上場を廃止した。


 チッソとは関係ないが、JALもまた2010年に上場を廃止している。現在、東電の株価は、500円を境にして、乱高下している状況で、仕手株化している。まるでギャンブルである。
 しかし、チッソやJALの例を見ても、将来的には上場廃止は避けられず、そうなれば、株価は限りなく0円に近くなることは避けられまい。
 インターネット上における株式の掲示板には、今回の東電の株価暴落によって、何千万円損したとか、何億円損したなどの記述が目立つ。本当かウソか、自殺を匂わせる記述として、灯油を買ってきたなどの物騒な記述もあった。
 東電の株主として、大損した人には同情するが、これから発生する多額の補償を考えれば、東電の株価がゼロになり、株主がその責任を負うのは当然の対応となろう。そのようなボロ株を強制的に国が集め、国家による管理された、事実上の国営企業としての東電の補償を税金を使って、行っていくことになると思う。


 将来、東電の補償が全て終わり、それでも事業が継続しているようになれば、その時、東電を再上場して、その時についた株価を国の収入とすればよい。NTTを株式公開したときのイメージである。
 ただし、その時は、NTTがそうであったように、電力の自由化が当たり前のようになり、他業種大企業からも、電力事業への参入が認められるようにならなければならない。もう、東電による地域一社独占体制は、終わりとなるだろう。


 企業もそう。政治もそう。独占、独裁の社会は、大きな歪みを生み、国民にとっての利益にはならないと、肝に銘じるべきだと私は思う。


2011年04月13日