田中けんWeb事務所

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日刊田中けん

学際的に考える、高速道路と東電の未来

高速道路:1000円、廃止へ 東北・北関東は無料化--政府・民主
 毎日新聞 2011年4月7日 毎日新聞より


 政府・民主党は6日、東日本大震災の復旧・復興財源に充てるため、自公政権時代から続く高速道路の上限料金制(休日1000円)を廃止する方針を固めた。11年度から新たに導入する方針だった平日2000円の上限料金制も見送る。政府が高速道路の割引財源として確保している約2兆円のうち約4000億円が今後3年間の上限制経費に充てられる見通しだった。高速道路無料化の社会実験中止による約1000億円を加え計約5000億円を捻出したい考えだ。


 無料化実験の11年度予算は1200億円だが、すでに新年度に入っているため実験は当面継続し、対象区間の拡大が予定される6月をめどに従来区間も含め中止する方針。政府・民主党はこれに代わり、被災地支援策として東北・北関東の高速道路を一定期間、無料化する検討に入った。その11年度分の経費として約1600億円を見込み、高速道路関連で捻出する復旧・復興財源約5000億円の一部を充てることが想定されている。


 同党の国土交通部門会議(田村謙治座長)が6日、こうした内容を盛り込んだ提言案をまとめ、「歳出見直しチーム」(座長・城島光力政調会長代理)に提出した。4月中の編成を目指す11年度第1次補正予算案は総額3兆円を超える見通し。無料化実験の中止などが1次補正に間に合わなければ、2次補正の財源に充てる方向だ。


 09年衆院選マニフェストの目玉政策だった高速無料化の中止には党内に反発がくすぶる。6日の部門会議の会合では、小沢一郎元代表に近い川内博史衆院議員が「閣議決定し予算成立したものを撤回するなら、総辞職しないといけない」と反対した。【大場伸也】
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 民主党が言い始める10年以上も前から、高速道路の無料化を言い続けてきた者としては、ここで民主党が「高速道路の無料化」の公約を事実上撤回することが残念でならない。
 それと同時に、所詮、選挙目当ての公約であったのかと思わざるを得ない。
 しかし、これまで日が当たらない高速道路問題について、大いに日の光を当ててくれたことに対しては感謝しているし、それについては、立場は違えども、猪瀬直樹のように高速道路の無料化に反対する人物であっても、話題として高速道路の問題を取り上げてくれたことに感謝している。
 これからは、政策として認知された高速道路問題について、民主党とは違ったスタンスで、地道に訴え続けていくことが私の政治活動の一つとなるであろう。


 さて、この高速道路を改めて見てみると、東電ととても似ていることがわかる。地域限定の独占企業ということだ。つまりサービスを受ける消費者である我々にとっては、電力にしろ、高速道路サービスにしろ、他に選択肢を持たないと言う意味で、どちらも民間企業でありながら、国営企業のように振る舞えたし、事実上の国営企業のようでありながら、形式的には民間企業であることから、給与体系など、公務員の枠に縛られずに自由に設定できたのだろう。つまり、彼らにとっては、官民のいいとこ取りによる甘い汁を吸い放題の中で企業経営を続けてきたと思わざるを得ない。


 東電に関しては、今回の原発事故を受けて、地域独占の看板を外すことが必須となろう。つまり電力の自由化によって、他業者他社からの電力業界における新規参入を認めていくようになるに違いない。
 その時は、電力を供給する電線は、道路と同一の発想から、公共物と見なし、東京電力の私有物であると考えてはいけない。どんなに民間企業の持ち物であったとしても、他社参入が事実上できず、一社独占となる私有物に関しては、私有物であっても、それを公共物として見なし、ライバルとなる同業他社が意識的に排除されることなく、権利として使用できるように運用しなければならない。
 なぜこの様に考えるかというと、その方が、より大多数の国民をはじめとする公益に合致するからである。つまり公益の前に、法人や個人の私権が制限されることは、不当なことではない。ましてや、その私権が、独占体であり、代替不可であるならば、私権を制限することの正当性は、より高く認識されて良い。


 では、この発想を、高速道路に当てはめて考えられないだろうか。道路は本来無料である。一般道がまさにそうである。しかし、なぜか高速道路だけが有料となっている。しかも、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本のように3社による地域独占事業である。電力業界と同様に、道路行政の自由化を考えれば、電線同様、高速道路そのものの公共性が、認識されていなければならない。そうでなければ、この業界における独占は崩すことはできない。
 論理的整合性を言えば、独占を崩すことができない事業を行う民間企業を民間企業のままにしてはならないし、民間企業でアリ続けたいのならば、同業他社の新規参入を認めなければならない。複数の民間企業による正当な競争が行われ、消費者の選択権が有効に機能する市場による価格形成が期待できる形式を制度として整えなければならないのである。


 ここで私は二つの選択肢を提案しよう。
① NEXCOのような民間企業の業態を認め続けるのであれば、地域独占を止めさせ、同業他社参入による道路事業の自由化を模索しなければならない。
② 現在の様な地域独占事業が永続するのであれば、それは自由化に馴染まない。よって、NEXCOを全て国営企業として扱い、主に自動車の所有者や運転手から徴収する税金を使って、高速道路を無料開放しなければならない。


 最終的には国民が選ぶべき問題ではあるが、高速道路事業が、今のまま永続的に有料道路として存在し続けることに対して、私は大いに異議を感じている。
 ましてや、今や、民主党もあてにならない。田中けんの出番である。


2011年04月14日