東電はお金では償えない罪を犯した。
東電に悲痛な叫び 計画的避難区域・飯舘の少女
東京電力の鼓紀男副社長が30日、村内全域が計画的避難区域に指定された飯舘村と一部地域が指定を受けた川俣町で住民説明会を開き、住民に謝罪した。4月22日の指定以来、幹部が現地を訪れ、謝罪するのは初めて。これまでの避難と異なり、避難開始までの期間に住民がいかに生活基盤を確保するかが重要となる中、参加者からの質問は「いつ、どのように補償を開始するのか」といった補償問題に集中したが、東電側からの明確な答えはなく、避難開始への不安を残す結果となった。
「私が将来結婚したとき、被ばくして子どもが産めなくなったら補償してくれるのですか」。人口約6100人全てが避難対象となる飯舘村で行われた説明会。原発事故から1カ月半が経過してようやく謝罪に訪れた東電側に対し、住民は怒りをぶつけ、将来の不安を悲痛な叫びとして訴えた。
出席した村民約1300人が見守る中、同村飯樋の高校1年生渡辺奈央さん(15)は、将来の被ばくリスクについて質問した。鼓副社長は「とても重い質問。影響が出ないようにしたい」と答えると、「危ないからもっと早く避難すべきと言ってほしかった」と対応の遅さを指摘した。
(2011年5月1日 福島民友ニュース)
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「被曝して、子どもが産めなくなったら補償してくれるのですか」
とても重たい、少女という名の“未来の母”からの問いかけである。
本来ならば、お金で解決などできない。解決できない問題に対して、仕方なく代替としてお金で補償するしかない。それが現実だ。誰も最初から補償など望んではいない。
昔から、今まで続く、連綿とした生活を続けたいと言うだけの希望なのである。どんなに科学技術が発展しても、それは継続を前提とした人類史に穴を空けるようなことがあってはならない。
しかし、今回、東電は人類史に対して挑戦するかの如く、大きな穴を空けてしまった。この穴は、到底、お金だけで埋め尽くせる規模ではない。
私が不思議に思うのは、これだけ大きな被害を出した東電を、未だにかばう民主党政権である。東電の責任とは、突き詰めて言えば株主の責任である。4月末時点で、東電の株価は425円である。事故から1ヶ月以上も過ぎているというのに、まだこのような高値をつけている。私からすれば信じられない高値である。
今、政府が行うべきは、東電の株式上場を廃止して、強制的に東電を国営企業にしてしまうことだ。それによって、税金による被害者への補償についても、大義名分が立つ。逆に、東電をこのまま民間企業にしたままなのに、税金投入による被害者への補償では、大義名分が立たない。被害者への補償は、被害を起こした企業が独力で行うことが前提だ。それができないとするならば、その企業は倒産するか、国営企業になってもらうしかない。
株主責任を曖昧にしてはならない。これからどれだけの補償費用がかかるかわからない現状にあって、東電の株主には、等しく泣いてもらうことが、被害者の救済につながり、同時に税金の投入を少なくする妙案なのだから。
2011年05月04日