田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

まだ「警察は正義の味方」だと思いますか。

埼玉県警:「うそ言えば帰れると思った」…証言強要の疑い
 毎日新聞 2011年5月26日 2時38分より


 「うそを言えば帰れると思った」。埼玉県深谷市議選をめぐる公職選挙法違反事件で、供応買収を受けたとして県警から事情聴取された住民たちは、連日の長時間の調べに疲れ果て、事実とは違う調書に署名させられたと主張する。ほとんどが60歳以上。農作業中や自宅で、厳しい取り調べの様子を語った。


 ◇「会費払ったのに」…住民、厳しい聴取に疲れ
 県警の発表では、市議選告示前の2月中旬に、市内のレストランで市議の永田勝彦容疑者(67)=公職選挙法違反容疑で逮捕=から、飲食の接待を受けたとされている。


 住民が支払ったと主張する金額は3000円。だが、県警は「払っていないはずだ」と迫った。


 県警の聴取5日目に「会費を払っていない」との調書に署名した男性は「『あんただけなんだ』『(印を)押せばすぐ帰れるんだ』と言われた。4日目ぐらいから取り調べが厳しくなった」と振り返る。別の男性は「『認めないと何カ月もかかる』と言われ、年老いた母親の面倒もあるので生活のために認めることにした。警察は市民の味方じゃないのか」と厳しい口調で話した。


 聴取3日目に署名した女性は「毎朝、『払ってないんですよね』から始まる。『真実を言わないと帰れない』と言うから、『そんなに言われるんじゃあ(集金役に渡した)封筒の中に(会費は)入ってなかったのかなあ』と言った。早く家に帰って横になりたいと思った」と証言した。


 また、少なくとも2人が「子供の名前を出され、『呼んで事情を聴きましょうか』などと言われた」と話した。「お孫さんと写真撮りたくないですか。おじいちゃんは悪い人って言われたくないですね」「明日の新聞にあなたの名前がでかでか出ますよ」などと言われ、「認めないと逮捕されると思った」と言う人もいた。


 初日に署名した女性は「うそを言えば帰れるのかなと思ってしまった。『払わなくていいという声が(会合で)聞こえて(3000円を)引っ込めた』という調書になった。その時は楽になって良かったが、事実じゃないから、今もどんどん自分が情けなくなる」と話した。


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 布川事件では、水戸地裁にて無罪判決が出た。
 またまた警察と検察による無理な捜査が、二人の善良な男性の人生を大きく狂わせてしまった悲劇を作った。

 今回の埼玉県警による証言強要にしても、監督=警察、脚本=警察、主役俳優=警察で固められてきた。この様な日本の警察で良いのだろうか。

 警察は正義の味方ではない。これはハッキリした。
 しかし、だからといって、警察は悪の手先でもない。
 警察について、市民はどのように考えるべきか。そう元警察官に聞いたところ、警察官とは法に基づいて、「給料分の仕事をすればいい」とのことだった。「そこに正義感が必要だ」などということは一言も述べられなかった。
 警察とは合法的な暴力装置として期待された、法の執行者であって、それ以上でもそれ以下でも無い存在として理解すべきなのだろう。


 極力、警察を“特殊”だと思わずに考えるならば、一般市民の中にも、いい人がいれば、悪い人がいるように、警察の中にも、いい人がいれば、悪い人もいるということだ。
 ただし、ここで違うのは、一般市民は個々バラバラであるのに対して、警察は組織である。バラバラではありえない。組織である以上、そこにどんな善人がいたとしても、組織の論理の中にあって、その論理に従わなければ仕事はできないのだ。


 警察官が証言の強要を行う。
 これは立派な違法行為である。しかし、この違法行為を具体的に罰する法律はない。何か明確な刑事事件として起訴され、処罰を受けたという例を、少なくとも私は知らない。


 取調室の中にカメラを入れて、取り調べの“全面”可視化を実現しなければ、今回の様な事件は、二度三度と繰り返されるだろう。
 警察官のように、暴力としての権力を持つ集団は、誰よりも自分たちに厳しく法の下に動かなければならないのは当然である。
 今こそ、取り調べの可視化を全面的に受け入れ、被疑者に対する接し方を、根本的に改めなければならない。


 警察は犯人を作る製造業ではない。警察は被疑者を捕まえる捜査機関である。


2011年05月28日