田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

国会の可視化議連に参加して

 6月2日(木)たまたま別の会合が、衆議院議員会館の中であったので行ったのだが、その日は、丁度、内閣不信任案が提出された日だった。
 議員さんたちが慌ただしい時もあって、勉強会に参加した代議士は少なかった。
 目的の勉強会が終わって、ちょっと知り合いの事務所に顔を出したところ、その日に可視化議連(正式名称は、「取り調べの全面可視化を実現する議員連盟」)の会合があったので、参加させてもらった。
 国会議員中心の議連だろうから、参加と言うより、実際は傍聴者としての同席だった。

 一年に一回あるかないかの、内閣不信任案が提出された日である。写真の通り、折角の会合にも関わらず、出席した代議士の数はとても少なかった。
 本日のテーマは布川事件である。同事件の被告だった桜井昌司氏と杉山卓夫氏と弁護団が出席されていた。


 桜井さんの発言の中で、印象的な発言を紹介する。


「私は警察に対して、『やってない』って、何度も言いましたよ。検察でも同じ事をいいました。しかし、その時の検察官は言うのです。『君ね、君がやってないという言葉は、僕の心に届かないのだよ。もし本当に君がやっていないとすれば、少しは僕の心にも届くだろうけど、君の話では、全く僕の心には届かない。つまり君は嘘をついている。クロだ』この様に決めつけて言うのですよ。検察官は」


「警察は、なぜ自分たちの誤りを認めない集団なのでしょうね。無罪となった今でも、警察官は、私が『犯人だと信じている』と平気な顔をして言うのですよ。そして、なぜそのように『私が犯人だと思うのですか』と聞くと、その根拠は、逮捕状にあるというのです。逮捕状も無罪判決も裁判所が出しているというのに、一方は信じて、一方は信じないなんておかしいじゃないですか」


「警察なんて、真犯人を捕まえようなどとは全然思っていない組織ですよ。とにかく上司に言われたように、犯人だと狙いをつけた人間を、いかに犯人に“仕立て上げるか”が彼らの仕事なんです」


「よく一般の人から『やってもいないのに、なぜ“やった”と言ってしまったのですか』と聞かれることがあります。確かにやってもいないのに“やった”と自分が言ってしまったわけですから、自分が悪いかも知れない。でも、取り調べを行う側、取り調べを受ける側という違いを前提にした、あの状況の辛さは体験した者でなければわかりません。あのような状況ならば、誰もが、『やりました』といいますよ。私だって、色々な体験をしたのですから。もし私が検事ならば、どんな人でも、一週間で『やりました』と言わせる自信がありますね」


 我々は、刑事ドラマなどを見て、知らず知らずのうちに、警察が善で、被疑者が悪だと、すり込まれて、物語を見ている。洗脳させられていると言っても良い。
 しかし、現実社会は、被疑者は全て犯人ではない。無罪判決が出ているから明らかなように、それは事実だ。しかし、警察官が無理矢理犯人を作り上げていくような、強制自白を迫る刑事ドラマは放送されない。
「被疑者は嘘をつく悪い人」
 この思い込みが、刑事ドラマでの警察官による人権侵害を肯定する。暴力、罵声、机を叩くなどの威嚇、全てが違法な取締りだ。そもそも、警察官が被疑者から供述調書を取って、それを裁判における証拠として採用するという、「調書裁判」こそが、冤罪の温床になっているとの指摘もある。
 つまり、自白とは、裁判所で、裁判官の目の前で話したこと以外、一切認めない。このように取り扱えば、密室の中での強制自白など、ありえないことなのだ。


 取り調べにおける全面可視化は、司法改革の端緒に過ぎない。それでも、それさえも簡単には変えられない日本の法律、国会議員のあり方などを見ていると、むずむずして、イライラしてくる。
 この日本の司法制度を、もっと大きく変えていかないことには、これからも冤罪で泣かされる国民は後を絶たないであろう。


2011年06月04日