もし私ならば、値段がついている内に、売り払ってしまう。
中古マンション、はじけた「湾岸ブーム」 売買成立困難に
2011/5/30 nikkei.com より
東日本大震災から3カ月近く。被災した東京湾岸地区の中古マンション取引では、売り手と買い手の双方が希望する価格に大きな格差が生じている。
■買い手と売り手で1000万円の差
東京・湾岸地区のマンションには、大幅な価格下落を当て込んだ買い手が現れ始めた。一方、売り手は引き続き「人気の湾岸地区」という震災前の評価を前提に販売しようとする。両者の意識には大きな隔たりがある。
千葉県浦安市。旧江戸川を隔てた東京都江戸川区より取引価格が高いなど一定のブランドイメージを築いていたが、液状化やインフラへのダメージなどが伝わり「震災で浦安バブルがはじけた」とも評される。この地区の中古マンション売買では現在、水面下でこんなやりとりが交わされている。
1戸当たり100平方メートル程度の中古マンション。10年前の購入価格が5000万~6000万円の物件について、売り手は4500万円程度の希望価格を提示する。一方、買い手の希望は3500万円程度で、売り手より2割ほど安い水準だ。
売りと買い、2つの価格の差が広がれば「売りたくとも売れない」「買いたくても買えない」という膠着(こうちゃく)状態が生じる。売り手は、いまだに抱えるローンの残高等を考えると安い価格では売れないし、買い手も買い急がない。売買自体が成立しにくくなる。
不動産情報サービス、東京カンテイ(東京・品川)の中山登志朗上席主任研究員は「取引価格ベースでみると、浦安地区での動きはほとんどない」と指摘する。
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不動産市場の動きは、まだまだ緩慢のようだが、私の予想では、湾岸地帯のマンションを中心に、もっともっと値段が下がっていくだろうと思っている。
液状化現象に関する勉強会にも出席したが、戸建て住宅は、必ずと言って良いほど北側に傾いているという。理屈は以下の通りだ。
そもそも家は、重さのバランスを考えて建てられていない。家の中の家具も、重さのバランスを考えられて配置されているわけではない。一般的に、南側に玄関やら窓を作る。逆に北側には壁を作る。物は壁に沿って置かれることとなり、必然的に“重さ”に注目すると、北側が重くなる。
頑丈な地面の上に立っている建物ならば、それでも問題はないのだろうが、液状化した土地とは、言ってみれば海の上のようなものだ。家は船となり、船のバランスが悪ければ、船体は大きく傾くことになる。
今、浦安の戸建て住宅を中心に、北側傾いて建っているのは、この様な理由であって、液状化するような土地にある建物ならば、必然的結果だと言わざるを得ない。
これがマンションのような集合住宅だとどうなるか。ほとんどの大型マンションの場合、深い岩盤まで届くような支持杭を打ってから、それに支えられてマンションは建っている。支持杭に支えられていると言うことで、地面がどうなろうとも、建物自体が傾くことはない。ただし、建物が傾かないのは、支持杭があるからであって、マンションの下に土があっても、無くても傾きはしないのだ。
ただし、この支持杭とは、全てが地中に埋まっていることで効果を発揮する構造物であって、一部、マンションと地面との間に隙間ができてしまった場合には、本来の“支える”という仕事が全うできない。よって、液状化によって地盤沈下しても、建物と地面の間に大きな隙間が空くことはあっても、建物は傾かない。
これがいいと言うのではなく。むしろ逆である。
建物が傾いていないから、住民は不安にならない。建物と地面に隙間が空いていると住民は不安になる。でも、その隙間だけ埋めてしまえば、マンションの真下など、誰も検証できないのだから、住民は不安から解消される。
そう。誰も気がつかぬ間に、マンションの真下には、液状化によって、まるで洞窟のようなぽっかりと大きな空洞ができていている場合がある。この様に地面の上に立たず、支持杭だけで建っているマンションとは、今度何か大きな地震でも起こりようものならば、支持杭ごと折れて倒れてしまうことも、絶対無いとはいえないのだ。
株式相場には「見切り千両」という格言がある。今売れば損には違いないが、それによって大損が避けられるのなら、千金の価値があるという意味だ。
浦安にしろ、清新町にしろ、液状化によってボロボロになった戸建て住宅、まだ表面上はボロボロとは言えないマンションなどの集合住宅は、正に今、「見切り千両」と言っても良い状態にあるのではないだろうか。
もしも私ならば、東京電力の株と一緒で、まだ値段がついている内に、売り払った方が少しでも安全策だと思うのだが、いかがだろうか。
2011年06月07日