制度の複雑化は、新たなる負担増を招く
高速道、被災者は全国無料に 政府・民主が検討
2011/5/26 14:42 nikkei.com より
政府・民主党は東日本大震災の被災者が被災地で高速道路を乗り降りする場合、料金を無料にする方向で検討に入った。被災地以外に避難した人たちが車で移動する際の負担を軽くする狙いで、自治体が発行する罹災(りさい)証明書をインターチェンジで提示すれば料金を徴収しない。「休日上限1000円」の割引制度が終わる6月中旬から実施する方針だ。
制度を導入すれば、例えば被災者が東北と九州を行き来しても高速料金が無料になる。避難先から自宅に一時的に戻る場合や、被災地から遠方の親族などを訪ねる場合の利用を見込んでいる。
政府・民主党はこれとは別に、トラックやバスなどの大型車を対象に、東北道など被災地域の高速道路の無料化も検討している。被災地への物資輸送や観光を後押しし、被災地の復興につなげたい考えだ。
無料化のための財源は、高速道路会社が現在実施している深夜や通勤時間帯の割引制度の組み替えなどを想定している。当面は政府の新たな財政支出は必要ない。政府は「休日上限1000円」の割引制度と全国50区間で実施している無料化実験が6月中旬に終了することから、被災地の支援策として導入を検討していた。
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コロコロと変わる高速道路行政である。
東北地方の高速道路が全面的に無料になるとの報道があったとき、私は素直に喜んだ。一部とはいえ、高速道路がやっと無料になると思ったからだ。
しかし、今回の報道では、被災者だけが高速道路の無料になると言う。これは新たなる不公平を生まないだろうか。
被災者に様々な援助の手を差し伸べることに異論は無いが、高速道路行政は、誰彼と無く一律で平等な対応をすることで、経費を抑えることができる。
報道にあるように、「罹災(りさい)証明書をインターチェンジで提示」となれば、それを選別するための人員が必要であり、どんなに小さなゲートであっても、ETCだけでの対応はできなくなる。
これはまるで子ども手当てに所得制限を設けることによって、所得制限を設けないとき以上に、(給付費+経費)が大きくなる典型的な愚策である。
被災者だけでなく、被災していない人たちも含めて、東北地方の高速道路は無料で使えるようにしなければ、これからの東北地方の観光業にとってもメリットは少ない。これでは復興に逆効果ではないか。
http://www.t-ken.jp/diary/20100501/
こちらでも述べたが、高速道路行政を、こねくり回して、複雑化するのは、もうこれ以上、止めてもらいたい。とにかく簡素化することで、全体の費用は限りなく抑えられるというのに、どこかに恩恵を与えようとして、全体的な経費を増大させたのでは、公共物としての使命を全うできない。
私は東北地方の高速道路は無料になる。ここに妥協点を見いだしたわけだが、今回の、「被災者だけ高速道路が無料」という決定には納得できない。
被災者に対する援助ならば、他の方法がいくらでもあるだろう。なぜここで、高速道路なのか理解できない。
東北地方の復興を1日も早く実現するためには、東北地方の高速道路の全面的な無料化を私は再度、政府に対して望む。
2011年06月08日