田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
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日刊田中けん

タイムマシンは実現するかもしれない

 人間の空想は、やがてそれを現実とする。
 私の言葉だ。


 1865年、小説「月世界旅行」によって、人類は月をめざした。
 1969年、人類は月面に着陸した。


 不可能を可能に変えてきた人類史の実例は数多いが、
これを一つ一つ検証するのが目的ではない。

 月面着陸の話を持ち出したのは、
今の私たちがSFだと思っていることは、
未来の人類にとっては現実となり、
既にSFではなくなっていることもあるだろうという一つの可能性を示している。


 よって、「タイムマシンができるかも」
なんて話を馬鹿げた話と一蹴しないで欲しい。


 今の東京の街の姿は、昔、人類が想像した未来都市そのものではないか。
 人間の想像は、着実に現実化している。


 最近のアニメは、時間軸の変化を扱った作品が非常に多い。


「ひぐらしのなく頃に」では、主人公の女の子(古手梨花)が亡くなると、自分が殺され死んでしまうという望まなかった現実を変えるべく、自然ともう一度過去に戻って、人生をやり直そうとした。何度でも、何度でも。


「魔法少女まどかマギカ」では、やはり主人公の女の子(暁美ほむら)が、望まない現実が起きる度に、意識的に過去に戻って、人生をやり直そうとしている。何度でも、何度でも。


「シュタインズゲート」では、主人公の男性(岡部倫太郎)が、望まない現実を変えるべく、過去の自分に影響を与える、命令調の携帯メール(過去に送れるメールを、作中では“Dメール”と呼称される)を送って、未来を変えようとする。何度でも、何度でも。ただし、この物語の場合、人体や魂ではなく、電子データのみを過去に送れる設定となっている。物体を過去に送ることも可能だが、その場合、その物体は黄色に変色したスライムに変わってしまい、実用不可となっている。


「未来日記」では、未来に起こることが書かれている携帯メールを受け取れる特別な12人が登場する。彼らは、時に“書かれている未来”を不服に感じた場合、その未来に従わないことで、別の未来を手に入れる。別の未来を選択した者は、その都度、未来が書き換えられ、次の新しい未来の事が書かれているメールを受け取ることとなる。ちなみに、未来が書かれた携帯メールを受信する携帯電話が壊れてしまうと、その所有者も同様に壊れ、現実から消えてしまう設定となっている。


「涼宮ハルヒの消失」では、主人公の男子生徒(キョン)が、12月18日を境に、不連続な日常を体験する。転校したはずの知人がクラスにいたり、友人だった女子が自分のことを知らなかったり、友人の男子生徒が同じ学校に居なかったり、12月17日とは不連続な日常を体験する。このおかしな現実を変えるべく、キョンは特定の条件を揃えて、意識的に3年前の過去に時間移動する。


 このように数多くの物語の中で、人は過去に戻って、または未来を事前に知って、未来を変えようとしている。


 タイムマシンと一括りで言っても、
そこには大きく二つの相反する作用がある。
①過去に行くことができる。
②未来に行くことができる。
 私はこの二つの作用は、別物だと解釈する。
 それぞれが独立した、時間移動であると。


 このように二つの作用を別物と考えた場合、私の想像力では、どうしても過去に行くタイムマシンは、現実的に想像できない。
 しかし、未来に行くタイムマシンは、現実的に想像できる。


「涼宮ハルヒの消失」の作中にもあったが、3年前に戻ったキョンが、過去を正常に戻して、3年後に戻るシーンが書かれている。未来に戻る決意をしたキョンは、閉ざされた一室の中で一晩寝る。その一晩が3年間であり、目をさましたら、3年後の元の世界に戻っていたという設定だ。つまり、その時は1秒1秒時を刻む時間軸は変わっていない。キョンという人間による体感時間が大幅に変わったのだ。


 これは哲学的命題でもあるが、物は(人間の認識とは関係なく)そこにあるから存在するのか、物はそこにあると人間によって認識されるから存在するのか。この論争に似ている。
 時間は寸分も狂わず、一秒一秒を刻んでいるのか、それとも人間の意識によって、早くもなったり遅くもなったりするのか。


 私は後者の説を採用する。解りやすく言えば、人は誰しも睡眠によって、毎日当たり前のようにほぼ5~8時間という時間をワープして、未来に飛んでいる。
 人間の意識時間は、せいぜい1日16~19時間ほどだが、実際には1日24時間あって、意識していない時間を含めて、人間は生きている。


 睡眠行為を、未来への時間移動の手段として考えられないだろうか。
 8時間睡眠する人間を24時間睡眠へと。
 24時間睡眠する人間を1週間睡眠へと。
 1週間を1年に。1年を10年にと。


 この様に考えれば、近い将来、科学が発達して、人間を未来に送る技術、つまりタイムマシンが開発されるかも知れない。
 人間にはSFを現実に変える能力があるのだから。

 世の中を変えるのは政治だけではない。科学もまた大きく、世の中を変えることに貢献している。
 可能性を最初から否定してしまう人は、それ以上の未来を手にすることはできない。


2011年12月05日