田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

不特定多数の人たちと付き合う危うさ

 2011年、前原誠司外相(当時)は、京都市内に住む外国籍の男女から献金を受けていた。これによって、前原誠司外相は大臣職を引責辞任する形へと追い込まれた。


 経過がどうであれ、違法なことは違法である。
 私の政治倫理観を披露すると、たとえ違法なことであったとしても、それが本人の政治信条に大きく関係することであれば、罰を受けることを覚悟で行動する勇気と決断を私は認める。
 江戸時代の直訴のようなもので、例え自分は死罪となっても、不正を訴える行為を私は政治犯として、その正義を認める。


 しかし、外国人から政治献金を受けることに関して、前原氏が何が何でも実現したい政策であるという信念があっての行動だとは思えない。きっと知識不足による単なるミスであろう。
 このようなことで、一国の外相が交代することは、本当に国にとっての損失であり、本人にとっても国民にとってもつまらないことである。


 さて、このように政治信条に基づかない何気ない行動が、違法だとされ失脚の引き金となってしまうことは、政治家の場合、多々ある。


 日本の政治家とは、“権力者”のイメージに違わず、このように非常にもろい立場にいる人たちだとご認識いただきたい。


 さて、島田紳助が暴力団との関係をきっかけとして、引退に追い込まれたのはつい最近の話である。その後、暴力団とのつきあいは、全国の都道府県にある暴力団排除条例によって、大きく規制されている。芸能人に限らず、政治家にあっても、暴力団員との交際は、命取りになりかねない。
 最近、AKB48の一員の母親が、18歳未満の男性との性交渉を理由に、淫行で逮捕されたが、これも相手が明らかに18歳未満の人物とわかっていたから問題であって、わかっていなければ逮捕まではされなかったかもしれない。


 何をするにしても、相手が何ものかを知っているのと知らないのとでは、大いに違う。


 前述した外国人からの献金にしろ、暴力団員との交際にしろ、相手が外国人や暴力団員であると知っていてつきあいがあれば、それは論外だ。本人が違法性を認識していたと、推定されても仕方が無い。
 しかし、そのような相手の身分を知らなかった場合、どうなるかと言うことだ。
 人間誰もが、「私は外国人です」とか、「私は暴力団員です」のように名乗ってくれる人ばかりではない。そのような場合、不特定多数の人たちと会うことが、職業柄多い政治家などは、色々な場面で、つきあいの濃淡はあれど、暴力団員と接触する可能性は高い。
 では、その人が暴力団員か否か、どうしたらわかるのか。本人が宣言しなければ、その認定は、警察による個人情報によって規定される。つまり、その人物が、暴力団員なのか、そうでないのかは、警察がその決定権を持っていると言うことだ。


 これを恐ろしいこととは思わないだろうか。
 前原氏による違法献金の場合もそうだが、誰かの悪意によって、意図的に特定の政治家を失脚させようとすれば、表面上の好意を持って、外国人や暴力団員を、当該政治家に近づければいいのだ。一緒に写っている写真一枚あれば、その情報は、勝手に一人歩きして世間に流布される。


 もし私が、外国のスパイならば、自国に不利となるような言動を繰り返す政治家をマークして、意図的に失脚に追い込もうと画策するだろう。マスコミは、政治家が不祥事によって失脚するのは大好きな人たちである。その影でスパイが暗躍していたとしても、そんなことはお構いなしだ。


 総理大臣を筆頭に、最近の「簡単に辞めてしまう政治家」の風潮は、国民にとって吉なのか、凶なのか、これはこれで、しっかりと損得を論じる時が来たのではないかと、私は思う。


2012年02月11日