田中けんWeb事務所

江戸川区議会議員を5期18年経験
巨大既存権益組織に斬り込みます!

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日刊田中けん

道路に哲学を

テレビ番組で紹介「チンさむロード」で死亡事故

 千葉県警松戸署は19日、自動車運転過失致死傷の疑いで茨城県坂東市の無職少女(19)を逮捕した。逮捕容疑は5月28日夜、松戸市横須賀の市道の下り坂を乗用車で走行中、道路脇を歩いて帰宅途中だった近くの男子大学生(18)をはねた後、電柱に衝突、同乗の女性(20)と少年(19)にケガをさせた疑い。大学生は頭を強く打ち死亡した。


 事故現場は急勾配の上り坂から平らな直線道路になり、さらに下り坂になっている。今年3月まで放送されたフジテレビ「人志松本の○○な話」で「スリルが味わえる場所」として紹介され、スピードを出すと車が浮き上がることで知られていた。股間が浮いたような感覚になる意味が込められた「チンさむロード」というコーナーで紹介された。少女も「有名な場所だと聞いて行った」と供述している。
[ 2012年6月20日 06:00 ] スポニチより
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 行政が道路を作るときの基本的考え方だが、「交通法規さえ守っていれば、事故はおこらない」と考えて道路を作るのか、「どのような違法走行しても、事故は起こりにくい」と考えて、道路を作るのかによって、できあがった道路の形状は自ずと違ってくる。


 今回のケースでは、TV番組で、きっとおもしろおかしく、不思議な体験ができる道路として報道したのだろうが、それならばそれで、行政がそれを放置せず、いち早く「不思議体験」ができない道路に作り替えるべきだった。それができない、または時間がかかるとしても、危険な道路として、注意を促すような立て看板などの告知を十分にしておくべきだったと思う。


 当たり前の事だが、この世の中には、色々な人がいるのだ。事故が起こった後で、「そんな(変な)人がいるなんて、知らなかった」という性善説で政治はできない。また逆に「この世の中は犯罪者予備軍ばかりだから、事前に逮捕してしまえ」という性悪説でも政治はできない。


 行政の対応が後手後手になるのは、仕方が無い。先手先手で動く行政(特に警察)などは、恐ろしくて、とても民主国家とは言えない。それでも、「すぐ動く後手」なのか、「いつまでも動かない後手」なのかでは、大いに違う。


 日本の道路は、狭くて混んでいて、とても誉められたものではない。年度末になると何度も掘り返しては、舗装している路面のなめらかさは、特筆すべき事象ではあるが、「狭い」という物理的制約は、道路を作る最初に、作る側の哲学がしっかりしていなければ、確保できない条件である。
 同様に今回事故が発生した道路のように、スピードが出た車が走行したときに、車体が浮き上がるような道路を、そのまま放置していたということは、制作当時の哲学がそこには無かったと言わざるを得ない。
 今からでも遅くないので、事故原因を徹底的に調査し、それを生かして、問題の道路を改修すべきであろう。今回の事故を、今回だけの特殊例として、矮小化した対応に終始してはならない。


2012年06月20日